デジタルな縦組みの日本語について、気になることをいくつか。2022年10月24日のセミナーでした質問の例を示す。
なお、HTMLやCSSの仕様を使った縦組みの実現方法やブラウザの実装状況は、Styling vertical Chinese, Japanese, Korean and Mongolian textに整理されている。
次のページはどこに?
縦組み日本語のデジタルテキストでは、次のページはどこにあるのか?次ページのリンクや外部リンクが指すページはどこにあるのか?外部リンクであることをアイコンで示すことがあるが、このアイコンは右上を指すのか、右下か?縦組み2段組の例にならえば右下ではないか。
紙の場合、横組みでは、次のページの先頭は右にある。2段組の場合も次の段の先頭は右側にある。横組みでは、次ページと次段のある方向が合っている。右綴じの縦組み日本語の本では、次のページの先頭は左側にあり、2段組なら次の段の先頭は右下にある。縦組みの日本語の場合、次ページと次段のある方向が合わない。ちなみに、「縦組みの日本語は上綴じ(天綴じ)」だったら次ページの先頭は右下となり、方向が合う。
縦組みと横組みで「次のページの場所」を示す矢印の方向を変えることは1ソースで実現できる。この文書で外部リンクを示す矢印は文字「↗」で、かつCSSのcontentプロパティによって自動生成している。現在(2022-10-28)、横組みで右上を向いた矢印「↗」が、縦組みでは右下を向く。次のページの先頭が右下にあるとするなら、それに応じた矢印の向きは1ソースで実現されている。この矢印記号のふるまいは誤りかもしれない。その場合でも、矢印はCSSで実現されているので、CSSを切り替えるれば1ソースで実現できることに変わりはない。
フォーム内の要素
フォームコントロールのような置換要素、ボタン要素(button)、入力欄要素(input)、HTML選択要素(select)、テキストエリア要素(textarea)は、縦組みに対応するのは難しいのだろうか?そろそろ縦組みに対応してほしい。
テキスト入力欄(input type="text")やテキストエリア(textarea)のテキストは縦組みにできてほしい。入力欄なので、ルビや縦中横などは不要ではないか。こういった不要な機能を明示すれば実現は早まるか?
縦組みが実現したとき、大きさを変更できる(CSSのresizeプロパティがnoneでない)テキストエリアのサイズをドラッグで変えるためのハンドルは左下に付くのではないか。
ボタンのテキストは縦組みにできてほしい。
ファイル選択のコントロール(input type="file")の「ファイルを選択」というテキスト、ラベル(label)、選択したファイル名は縦組みにできてほしい。
チェックボックスのテキストは縦組みにできてほしい。チェックボックスのチェック欄(○)とラベル(label)は揃ってほしい。
検索文字列のテキスト欄は縦組みにできてほしい。
選択要素の中の選択肢(option)も縦組みにできてほしい。かつ、右から左に展開してほしい。
展開・折りたたみ方向
縦組みの場合、select要素やJavaScript/CSSで作ったボックスが展開・折りたたみする方向は、展開は右から左、折りたたみは左から右ではないか。いずれの場合も、展開/折りたたみのトリガーを与える要素(図では「▶ この文書の目的」)の位置は、なるべく動かない方がよい。展開するときは、トリガー要素の左側にあった文章が左方向に移動する。トリガー要素が右に動くのではない。